いたいコンサル、すごいコンサル: 究極の参謀を見抜く「10の質問」 | 長谷部 智也 |本 | 通販 | Amazon
ある本を探しに書店に入り、そこで平積みになっていたこの本。チラと目に入りそのまま素通りしたのですが、だんだん気になって、探しに来た本はそっちのけでコーナーに戻って買いました。
「これって『すごいコンサルを見抜く』、と書いてあるけれど、見方を変えれば『すごいコンサルになるための心得』なのでは」と思ったからです。さて、期待通りだったか、、。
この本は、長年コンサルティング業界におられた長谷部智也氏が、「本物のコンサル」を見抜くための10の質問を、その質問の背景や意図とともに解説している本です。
これらの質問からあぶりだされる、クライアントにとって望ましい「すごいコンサル」とは以下の要素を持っています。
・業界構造を熟知している
・プロジェクト着手前から筋の良い仮説と具体的アクションを語れる
・ものごとを分解して数字化できる
・思考の「定石」をもとに語ることができる
・クライアントの社内の空気を読むことができる
・しかし、必要であれば耳に痛いことも直言」してくれる
・パートナー自身がプロジェクトに張り付く
・結果にコミットする
・課題を次々見つけては解決してくれる
それぞれの要素について、具体的にどうあるべきかが本文で語られています。
また、本書の後半は、現在のコンサルティング業界内の裏事情が紹介されています。
そして最後では、CEOに直言する「プライマリー・カウンセラー」が持つ10の規律が紹介されています。なかなか厳しい規律です。筆者は「3つでも実践できたら、CEOから真っ先に声がかかる一流の戦略コンサルになっていることは違いない」と書いています。
所感
個人的に一番と感じた要素は「質問2 今回お願いするプロジェクトの最終提言の仮説は何ですか」にある、『「第0日」の仮説で7割がた正解を書けるか』でした。
自分は、社内で中期経営計画を立てた際に、10か月にわたる検討期間の中でなかなか計画をまとめることができず、期間終盤になってようやく形にして社長に出したところ「もう少し検討期間が欲しかった」と言われたことがあったからです。
初期の段階で、自分が持てる知見で仮説を立てれば立てることができた。それなのに、策定チームの合意を取ることを大事にしすぎたばかりに骨子をまとめるのが遅くなってしまい、社長の検討時間を奪ってしまったと、忸怩たる思いをしました。
コンサルを目指す人にとって、『「第0日」の仮説で7割がた正解を書ける』を身に着けることは、無駄な調査、分析を省き、早期に答えを出し、クライアントにそれを検討する時間を与えることができる「すごいコンサル」に近づく大きな一歩だと思いました。
「理系シニアのひとり起業」を目指す人は、業態の一つにコンサルティング業も考えている方も多いと思います。本書はそういった方に「本当に求められるコンサルタント」とは何かを教えてくれる良い教科書となります。
果たして期待通り。コンサルを目指す身としてはとても参考になる一冊でした。
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