仮説思考 ~BCG流 問題発見・解決の発想法 ~

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仮説思考
~BCG流 問題発見・解決の発想法 ~
著者はBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)で長年コンサルティングをされた内田和成氏です。

この本のカバーに書いてある文章が、的確にこの本の特徴を表しています。

「情報が多ければ多いほど、よい意思決定が出来る。
このように信じているビジネスパーソンは多い。
そうであるがゆえに、できるだけ多くの情報を集め、それらを分析してから、
経営課題の本質を見極め、解決策を出そうとする。
実際に起こることは何か?時間切れである。
徹底的に調べてから、答えを出すという仕事のやり方には無理がある。
では、どうすればよいのか?仮説思考をみにつければよい。
本書では著者が20年間のコンサルティング経験の中で培ってきた
「仮説思考」の要諦を解説する。」


各章の概要を説明します。

■序章 仮説思考とは何か
仮説思考とは、問題解決のごく初期の段階で、「仮説」つまり「まだ証明はしていないが、最も答えに近いと思われる答え」を出すための思考法。
限られた情報、自分の経験値を元に、仮説思考のスキルで仮説を組み立てることです。

■第1章 まず、仮説ありき
ここでは、仮説思考を身に着けるとどのようなメリットがあるかを述べています。
最大のメリットは、限られた時間の中で課題を絞り込み、それに対する解決策を立てられること。
課題の絞り込み、解決策の立案を仮説思考で立て、そしてその仮説に対して、検証のための分析をする。
そうすると、全ての可能性を調べ上げてから分析し、そこから課題の絞り込み、解決策の策定をする方法に比べ、圧倒的に短時間でことを終えることが出来ます。
もちろん間違うこともありますが、それは検証の過程で見えてくるし、間違いが明らかになったら仮定を立て直します。
この根底には、徹底的に調べてからの立案も、限られた情報の中で「肌感覚」で立てた案も大差はない、という、人間の感覚への信頼があると思います。
これは私も納得しました。私はどちらかというと、事前につぶさに調査するのを好む人間ですが、組織の問題を特定し、対策を練る際に、いろいろ調べまくって作り上げた発表資料が、結局は最初に漠然と感じていたものと同じだった、という経験は確かにあります。

■第2章 仮説を使う
この章は、先に述べた
仮説思考を使った「問題の特定」「解決策立案」「検証」サイクルの回し方を具体例とともに説明しています。また、仮説思考はプレゼンテーションなどで、人を動かす場合にも有効だと述べています。

■第3章 仮説を立てる
ここでは具体的な仮説を立てるための幾つかのテクニックについて述べています。
どれかが鉄板のテクニックという訳ではなく、状況によって変わってくるとあります。
・分析結果から仮説を立てる
・インタビューから仮説を立てる
  仮説を立てるためのインタビュー法も書かれています。
・仮説を得る「ヒラメキ」を意図的に生む思考法
・良い仮説の条件として
①掘り下げられている
②アクションに結び付く
問題発見、解決策策定が早くなり、絞り込める
・仮説の構造化法
仮説の大小で構造化して見通しをよくする
■第4章 仮説を検証する
3つの仮説検証方法が紹介されています
・実験による検証
・ディスカッションによる検証
・分析による検証
特にこの中で実験・分析といった定量的検証における分析の技法が詳しく述べられています

■第5章 仮説思考力を高める
よい仮説は経験に裏打ちされた直感から生まれる
そのための日頃から(仕事をしている時間以外も、です)のトレーニング方法
最後に「失敗を恐れるな」と背中を押しています。失敗を恐れない心を著者は「知的タフネス」と呼んでいます。

■終章 本書のまとめ
全体のまとめが書いてあり、最後に読者に向けて「枝葉ではなく幹が描ける人間になろう」と呼び掛けています。


普段から「仮説思考」力を高める努力をすれば、組織の課題を解決しなくてはならないとき、経営計画を立てなくてはならないとき、自分の進む道を定めなければならないとき、「仮説思考」は強力なツールとなるでしょう。

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