「段取り八分」

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ハードウェアの評価で、
実験ベンチで評価を始めたら
 「あ、ケーブルが無い」とか
 「この測定器、分解能が足りないな」とか
あわててケーブルを作り始めたり、
評価に適した測定器を手配しなおすまで
数日待たなくてはならなかったり
したことはないでしょうか。

私も設計者として仕事を始めたころは
そういうことがよくありました。


「段取り八分」
という言葉があります。
大工の棟梁の言葉で、家を建てるときに、
いかに後戻りなく、短い時間で
てきぱきと完成させられるかどうかは、
「段取り」
つまり手順の計画と準備で80%が決まる、という意味です。
どのような仕事でも、段取りをつける事は、
仕事をスムーズに進める上で大切ですが、
ことハードウェア評価においては特に重要です。

ハードウェアの評価実験には、様々な準備が必要です。

設計したものは、そのままでは動作しません。
電子回路であれば、設計し、評価する対象は
電子部品が実装された基板ですが、
実装基板を作ればすぐ評価ができるわけではありません。
基板を動作させて、必要なデータ分析をするには、
諸々準備が必要です。

ハードウェアとしては、
設計に応じた電源、信号源、測定器、
それらを基板に供給するコネクタやケーブルは
最低限必要となります。
ソフトウェアとしても、
入力信号が複雑であればその波形データ、
測定データを解析するためのデータ処理の手段、
膨大なデータを取得しなくてはならない場合は、
測定系を自動で動かすためのソフトウェアツールと
そのプログラムも準備が必要です。

この内、一つでも不足している、あるいは
適切なものが用意されていなかったら、
それらを改めて準備しなくてはなりません。


では、若いころの自分は「評価計画」を
立てていなかったかというと、
「立てていた」のです。

「評価計画書」と称した文書を用意して、
それに基づいて準備をしていた。

それにかかわらず、いざ評価開始すると
不備が発覚し、後戻りになる。
評価のための日数がどんどん少なくなり、
焦りまくっていました。

しかし、次第に知恵がついてきて
評価計画の詳細度が上がってくるにつれ
後戻りが少なくなってくる。
そうなってから改めて振り返ると、
当時の私の評価計画は詳細度が粗く、
「立てていた」というより
「立てたつもり」になっていたことに
気が付いたのでした。

では、どこまで詳細に評価計画を書けばよいのか。
私の行きついたところは
「実験ベンチでの自分の手の動きが
 イメージできるぐらいに」
でした。
評価環境をセットアップしている自分の動き
電源や測定器を並べて
実装基板にケーブルを接続しているイメージ、
測定中に測定器のつまみを回しているイメージ、
そういう動作がイメージするぐらい
集中して考えていると、自然と足らない部材、
測定器のスペックの過不足に気が付くようになりました。

そして、その頃に知った言葉が
「段取り八分」
でした。
「あぁ、そうだよなぁ。」
といたく納得したものです。

「段取り八分」。
段取りがしっかりしていると
80%は上手く行ったようなもの。

評価に携わる方には、覚えておいて欲しい言葉です。

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