「まずい、英語が通じない。」
上海のローカルなお店に入って
買い物をしていた時、
店員が何か中国語で話しかけてきて
自分は何を言っているかわからなかったので
「なんだって?」
と英語で返答したのですが
相手は一瞬きょとんとして、
また中国語で何かまくしたててくる。
そのとき
「まずい」
と、経験のない焦りを感じました。
私は2016年12月、年の瀬も迫ったころ、
突然2016年4月の上海赴任を命じられ、
明けて2016年3月に
赴任先の会社と生活圏の下見と、前任者からの引継ぎを受けるために、
数日間上海に滞在しました。
平日は前任者とともに出社。
前任者からみっちり仕事の内容と
会社の状況を教えてもらいました。
社員約200名中、日本人駐在者2名以外は
全員現地中国人ですが、
私には前任者同様、専任の通訳さんが付いてくれるので、
社内のコミュニケーションは一安心。
問題は休日に街に出かけた時のことでした。
前任者に連れられて、生活圏を案内してもらったとき、
ちょっと単独行動の時間になり、
店に入ったときのことが、冒頭の状況です。
それまで、
「上海は国際都市だから、いざとなったら
英語を話せば何とかなるだろう」
と思っていたら、そうは問屋が卸しませんでした。
確かに滞在しているホテルでは英語が通じるし、
日本人相手の居酒屋に行けば
「らっしゃいあせ~っ」と
中国人の店員さんが日本語で迎えてくれます。
そういう国外からの客が前提の場所なら
英語や日本語で通じるのですが
ローカルではどちらも通じなかったわけです。
考えてみれば、われらが国際都市、東京も
英語を話していたらどこでも通じるか
といったら、そうではないですよね。
己の認識の甘さを実感しました。
ただし、少なくとも上海にいて、
普段の生活をするのであれば、
まったく中国語ができなくても何とかなります。
日本人が多く住んでいるエリアには
日本人向けの飲食店は無数にあり、
大きなスーパーマーケットでは
表示こそ中国語ですが、
日本のスーパーと同じ感覚で買い物ができます。
実際、前任者は中国語は全く話さないですが、
何年もここで生活をしていました。
私が「まずい」と思ったのは、
いざというときのことを考えたからです。
よく「サバイバル英語」とか本が出ていますが、
同様に「サバイバル中国語」はできないとまずいと。
旅行なら、「サバイバル〇〇語」は
それを習得する労力と、
実際に滞在中に危機に遭遇する確率とを考えると
割に合わないので不要だと思いますが
(そもそも危機的状態の国に、旅行は行きませんよね)
やはりその国に住むのなら、
日常生活ではその国の言葉を話せなくても
緊急事態に備えて、
ある程度はコミュニケーションがとれておいた方が良い
というのが私の持論です。
例えば国や地域のレベルで避難が必要な状況になったら
現地の人や行政は、外国人のことより
まずその国の人の安全を確保しようとするでしょう。
その時に、すこしでも現地の言葉が理解できていれば、
情報は得られるはずです。
中国では、それまでも(自分が赴任した2017年以前でも)
SaaSの流行があったり、日本人排斥の活動が高まったり、
日本人赴任者にとって厳しい状況が何度かありました。
そういうニュースを思い出し、
やはり中国語を身につけよう、と思いながら、
数日の滞在を終え、帰国の途に就いたのでした。
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