経営×人材の超プロが教える 「人を選ぶ技術」

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著者 小野壮彦氏
グロービス・キャピタル・パートナーズディレクター
起業家、ヘッドハンター、経営者メンター

最初、『人を選ぶ』という題名を見たとき、
高いところから見下ろして
「こいつは使えるのかどうか」と
判断しているようなイメージを持ちました。

しかし、本書の内容は、人の内面がどのような
「地下階層」になっていて、その地下の各階が、
どのような特徴を持っているのかを探索していく、
ということが書かれています。

そういう意味で、『人を見極める』目を持つことが
この本の主題となっています。

『人を見極める』目を必要としている人は、
会社で人を採用するとき、結婚相手を決めるときなど、
「パートナー」を必要とするときに必要になります。

この本はそういうときのために
「『人を見る』目は科学的に伸ばすことができる」
として、その考え方と実践法を紹介する本です。


目次
序章 「人を選ぶ」ということの意義
第1章 「人を見る目」を分解する
第2章 人を「階層」で捉える
第3章 相手の本質を見抜く実践メソッド
第4章 人を見る達人となるために
第5章 地雷を踏まないための知恵
第6章 人を選ぶ現場で今起こっていること
終章 「人を見る力」がもたらす究極の喜び


序章 「人を選ぶ」ということの意義
・「人を見る目」は人を「目抜く力」と「見立てる力」が必要
・これを身に着けるということは、実は「自分自身」を見抜く力も、見立てる力も、自然と上達する。

第1章 「人を見る目」を分解する
ここでは「人を見る目」を
「人としての優劣さ」と
「人としての外の有無」の軸で
4つのパターンを作り、
それぞれに特質を説明しています。

ただしこういう認識の元に
「人を選ぶこと」は
有害な人を排除するのが目的ではなく、
「そういうリスクがあることを
あらかじめ認識しておくこと」
そしてそれに備えることが大事と書いています。

第2章 人を「階層」で捉える
この章は実践的な理論の説明です。
「人を見るための思考の枠組み
  『フレームワーク』を持って、
  初めて、成り行き任せではない、
  意思を込めた試行錯誤が可能となり、
  習得が進む」
 とあります。
・人を4つの階層でとらえる。
 上から順に
 「経験・知識・スキル」、
 「コンピテンシー」、
 「ポテンシャル」、
 「ソース・オブ・エナジー」
・上の階層は他人から見えやすく、分かりやすく、
 そして変わりやすい
・下の階層はわかりにくく、しかし変わりにくい

第3章 相手の本質を見抜く実践メソッド
「人を見る目」を磨くための
「実践テクニック」を説明しています

①「整える」 自からの心を整える
 -深呼吸をする
 -レジュメを見直す
 -正対して座らない
 -良い時間にすることに徹する

②「和らげる」 感情は伝播する
 -相手をリラックスさせる究極の方法は、
  自分自身がリラックスすること
 -たった1杯のコーヒーがもたらす絶大な効果
 -アイスブレイクは必要
 -感謝の気持ちを伝えよう
 -「タメ語風言葉」の絶大な効果
 -パソコンでメモを取るのは避けたい
 
③「あぶりだす」できているようで、できていない
 -あくまでも「エピソードを引き出すこと」に徹する
 -人選びに必要なのは「意見」ではなく「ファクト」
 -不意打ちを仕掛ける

④「ボーッと見る」 完成をいかに活性化させるか
 -脳をDMN状態にさせるコツ
 -無意識に浮かぶものをばかにしない
 -「自分に酔わないこと」の大切さ

・面接でハマりやすい意外な三つの落とし穴
 -「モチベーション」を確認すす不毛
 -「カルチャーフィット」という大いなる誤解
 -「性格」で片づけてしまう危険性

第4章 人を見る達人となるために

人を見る達人になるには、
 とにかく量をこなす、
 徹底的に考える、
 考えを書きだす、
 自分を題材に「無自覚な癖」を観察する
ことだと書いています。

さらに、
  『「自覚的なバイアス」と
  「無自覚のバイアス」を熟知する』、
では自身の「先入観」を知ることと、
注意しなくてはいけないバイアスとして
似た者同士を高く評価してしまう「親近感バイアス」を初め、
「コンテクストバイアス」、
「ビューティーバイアス」、
などが説明されています。

第5章 地雷を踏まないための知恵

表向きは善人の顔をしていて、
実は周りに大きな悪影響を及ぼす人を
「EVILな人」と定義して、
EVILの幾つかのタイプを説明しています。

EVILの典型タイプは
「マウント型」と「ナルシスト型」であること、
また、EVILな人は「サイコパス」であることが多く、
サイコパスはゼロイチではなく濃度の問題であり、
誰もがEVILになる成分を秘めている。

その意味で、平時は「仕事の姿勢や価値観」
として発揮している特徴が、
ストレスがかかった「有事」には
それが良くない態度として表れてしまう
「突発性EVIL」は我々の誰もが大なり小なり起こし得る。

突発性EVILは読み切れないことは多々あるが、
そもそも「人を見る目」は、不都合因子を排除したり、
立ち向かったりするためのものではなく、
そのような「地雷」が埋まっているかもしれないと
想定しておくためのもの。
そうすれば地雷を避け、万一踏んでしまっても
冷静に対処できると書いています。

第6章 人を選ぶ現場で今起こっていること

・人の採用に関してリスクを取らない日本。
 「一発当てよう」で積極的に取るアメリカ。
 「見切る力」が強いイタリア。
・採用基準は「いい人」だけという会社が、
 実は本質的な人の選び方をしていた。
・育てることは大事だが、選ぶことはもっと大事
・「人選び」の教育なしに採用面接をしている現状は危険だ

終章 「人を見る力」がもたらす究極の喜び

・人を見る目の達人になると、
 ふと、対面する相手の魂と自分の魂が
 完全にシンクロナイズする瞬間が訪れることがある。


第2章「人を階層でとらえる」で紹介される
「経験・知識・スキル」、
「コンピテンシー」、
「ポテンシャル」、
「ソース・オブ・エナジー」の
4層構造は、特に深層の「ポテンシャル」と
「ソース・オブ・エナジー」において、
まったく新しい知識でした。

ここを見極めるまで行きつくには
相当の経験と努力が必要ですが、
もし身に着けられると、単に人を「見切る」にとどまらず、
仕事にしろプライベートにしろ、
深い絆を作る人と出会えるのだろうなと思います。

社会に生きている限り、誰かとかかわりを持つもの、
相手の内面深い部分を知るためのこの本は、
単に人材採用をする場合だけでなく
人間関係について、より良くしていきたいと
考えている人にもおすすめです。

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