※この本は現在新書版と電子書籍で入手可能です
著者は松下幸之助氏。
言わずと知れた「経営の神様」と言われた「松下電器(現Panasonic)」の創始者です。
生涯にわたり、人を中心にした経営を貫いた大社長が、エピソードを交えながら人を活かす経営とは何かを語っています。
「企業経営には、いろいろな事項が含まれている。(中略)いずれにしても、結局は人の問題になってくる。(中略)だからこそ、我々は、常に人間というものを問題にし、その本質を追及していくことが大切になってくる。人間の本質をきわめ、それを実際の各方面に活かしていくところに、本当にのぞましい姿が生まれてくるのである。(まえがきより)」
目次
序章 人を育て活かすために
第1章 信頼の経営
第2章 説得の経営
第3章 人間の経営
第4章 自省の経営
第5章 信念の経営
第1章 信頼の経営
ここでは相手を信頼することの大切さ、裏切られない確証はなくても、信頼していれば、そのただし椅子g多賀必ず最後に認められる、と説いています。
・部下を信頼し、仕事を任せる、製法の秘密を教え作らせる、相談をする
・世間を信用する「わたる世間に鬼はない」
第2章 説得の経営
相手を説得するときに、心から納得してもらうための心構えとヒントがここにあります。
・相手の気持ちの状態、心の状態も見つめて、適切な状態において説得する
・物の「説得力」を使う
・相手にもプラスになるのだという確信の上に立った説得が心を動かし、納得、共鳴を得る
・善意の説得力が大事
第3章 人間の経営
人の心の動きをよく知り、経営に活かすための心構えです。
第一章の信頼の経営にも通じるところがあります。
・経営なり、日々の活動においては、幅広い動きをする人間の心と言うものを、充分に認識しておくことが大切・一人一人が、ただ忠実に仕事をするでなく、自分の仕事の「経営者」になり、より良き姿を求めて、工夫を凝らして変化や確信を生み出していくことが大切。
・良き経営を実現しようと思えば、まず人間の勇気、あり方について検討しなければならない。
・なぜ松下電器が概ね自分の胸に描いた通りに発展してきたか。1つにはやはり、実現するようにしたからである。
・上司は部下が提案しやすいような態度を取る。そして提案に別に大きな間違いもなかろうと言う場合には任せる。
・60%の可能性があれば任せる
第4章 自省の経営
・松下電機創業時の心構えを、松下氏自身忘れないように唱和する「尊奉すべき五精神」
・自分は運が強いと自分に言い聞かせる
・悩みに対して、悩まないようにしよう、と言うように考えるだけでなく、自分の心が開けるような解釈をする。
・社員それぞれがそれぞれの担当している仕事に対して名医になってほしい。
第5章 信念の経営
ポイントだけ読むと、至極真っ当なこと、とだけ読めますが、ひとつひとつ松下氏の実際の経験に紐付けて語られているので、説得力を持って、読者に伝わってきます。
・経営に携わっているものは、自分なりの信念を持たなければならない。
・約束した事はぴしっと守る。
・諦めてしまう事は簡単である。そんな事はいつでもできる。しかしながら、諦めてしまえば、それで事は終わりである。
・決意が人を動かす。
経営者と言わず、人の上に立つ人にとっては、一度は読むべき本でしょう。
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