フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉
今や「箱根駅伝の監督」といえばこの人の顔を浮かべないひとがいないであろう、「フレッシュグリーン」青山学院大学 陸上競技部の監督 原 晋氏が書いた、組織論、人財論です。
この本の本質は、「(競技の)成績よりも、まず人間として成長することが大事」です。そしてそれを実現し、さらに競技者としての成績向上にもつなげる「組織づくり」も重要視しています。
「人間性」、「人間力」に関することが繰り返し強調されています。
「勝利だけを追い求めるよりも人間形成を第一に行うほうが、結果として勝利への近道になる」
「私の役割は、選手に陸上競技で結果を出させる以上に、人間として成長させてあげることです。」
「人間性を磨くことは、人間関係もよくなり、前向きな気持ちで仲間と一緒に練習したり、レースを戦うことはできない」
競技を仕事に置き換えてもこのことが言え、原監督はこの考え方とノウハウを、監督自身のサラリーマン時代の経験から得たものを陸上競技に適用したと述べています。
仕事のノルマだけを追い求めていると、いつか必ず人は疲弊してしまいます。短期の成果だけを求めるのでなく、長期的な人間としての成長を見据えて組織、仕組み、マネジメントを組み立てていくことが大切。
この考え方に深く共感します。
各章は以下のような内容となっています。
第1章 チームで結果を出し続ける
人を育て、成果を出す組織の土台作りが述べられています。
メンバーひとりひとりが考える習慣を持っている「考える集団」である事の大切さを述べ、そのためにチームの成長段階に応じて「命令型」「指示型」「投げかけ型」「サポーター型」の4つのステージを使い分ける組織管理方法が述べられています。
第2章 伸びる人材を見極める
結果を出せる組織を作るには人財採用の方法も大切です。第2章では、スカウティング(会社で言えば「採用」)の方法について書かれています。
第3章 潜在能力を引き出す
メンバー全員の実力を上げるために、ひとりひとりの実力の「少し上」を目標に設定し、それを達成したら、次はさらに少し上、と進めていくこと、自分で道筋を考え、実行していく力を持たせることの大切さが書かれています。
第4章 人間力を育む
本書の大きなテーマ「人間力」を育むことの大切さ、その進め方が書かれています。
ここは第2章にある、仲間となる人を見極めて決定していることが前提になります。
「他の人と協調しながら行動できる『心根のいいヤツ』をとるほうが、短期的な伸びは小さくても、長い目で見ると組織全体の力を伸ばすことにつながるのです」
第5章 周囲を巻き込んで力に変える
組織を内から外から支えてくれる協力者のありがたさが述べられています。そしてそういう人たちをひきつけるためにも「まともなことを言い続ける」ことが大切だと述べています。
2015年から2018年まで4連覇を成し遂げ、2024年の第100回大会も制した青山学院大学陸上競技部。
それを率いた監督の指導法はどれほど突出したものかと思い、この本を読み始めました。
しかし、音質は、「人間力」を中心に置いた人としての基本しっかり積み重ねていく、ということでした。
部下、メンバーを預かる方にお勧めする一冊です。
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