トヨタの失敗学 ~「ミス」を「成果」に変える仕事術~
(株)OJTソリューションズ
「カイゼン」
「バッドニュースファースト」
「なぜなぜ5回」
「現地・現物」
製造業に関わる人なら一度は聞いたことがあるだろうこれらの言葉は、全てトヨタがその起源です。
トヨタは言うまでも無く日本の製造業をけん引してきた企業。
そしてそれを可能にしてきた「失敗から学ぶ仕組み」がこの本でまとめられています。
昨今、トヨタグループでは、不合格となった試験データを隠蔽し、合格値に偽造した不正が次々と明らかになり、ここに書かれた文化が危機にさらされていると感じざるを得ません。
しかし、それでもなおここに書かれたことは、より良い製造企業となる道筋としてひとつの正解だと私は思います。
トヨタがこの本に書かれた文化を取り戻し、再び世に誇れる企業になることを期待しつつ、この本をご紹介します。
目次
はじめに
第1章 トヨタの改善は「失敗」から始まる
第2章 失敗を「視える化」する
第3章 失敗を「成功」に変えるワザ
第4章 失敗を活かすコミュニケーション
第5章 失敗こそが創造を生む
はじめに
・失敗を「悪」としてとらえず、「改善へとつなげるチャンスであり、成果に結びつける『宝の山』」である
・本書で使う「失敗」の定義として、「プロセス途中における失敗」の意味で、ああ「結果としての失敗」ではない。ではありません。ではない。
第1章 トヨタの改善は「失敗」から始まる
発生した失敗を「改善のタネ」として生かすために、「真因(=真の原因)」を分析し、再発防止の仕組みを作る流れを説明しています。真の原因を分析し、再発防止の仕組みを作る流れを説明しています。
第2章 失敗を「視える化」する
・失敗の「視える化」は、隠したい心理ととは、隠したい心理とどう戦うかが鍵の戦いであること
・「(工程を)止める」こと。影響が小さな内に、問題の芽を摘む。勇気をもって止めることをいとわない風土を作ることが必要。
・問題への感度を上げることの大切さ。
「ヒト・モノ・カネ・時間」に余裕のある場合、問題が表れにくい。
-「もっと」を口癖に、今の方法に常に疑問を持ち、問題を発見する
- 基準を持って問題を発見する
-「現地、現物」で問題を発見する
第3章 失敗を「成功」に変えるワザ
以前より良くするための、仕組みへの落とし込みが書かれています
ー 「このやり方でつくれば、うまくつくれる」をまとめた「標準書」
ー 「ルール化」
ー 「定点観測をすることで防げる失敗もある」
などです。
第4章 失敗を活かすコミュニケーション
失敗を次の改善に活かす仕組みを回せる、組織づくり、環境づくり、人づくりについて述べています。
ー 「後工程はお客様」と考える
ー 答は教えず考えさせる
ー 仕事の「意義」を伝える
ー 苦手な相手ほど話しかける
ー 相談されやすい環境をつくる
などです。
第5章 失敗こそが創造を生む
「失敗から学ぶ」精神を人や組織に浸透させるためのやり方が書かれています。
特に声掛けの言葉が印象に残ります。
ー 「可能性が60%なら、すぐやれ!」
ー 「巧遅拙速」
ー 「バッターボックスに立て」
ー 「目先の数字だけでなく、部下の将来の成長を見越して、難しい仕事にチャレンジさせる環境を作る」
ー 「転んでも100円玉を拾って起きてこい」
ー 「元に戻す」なら上手く行かなかった理由を徹底的に考える
ー 「挽回できる場」をつくる
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