テレコミュニケーション編集部編
NTT東日本経営企画部広報室監修
「人手不足」
「技術継承の問題」
中小企業であれば、どこでも大なり小なり、この問題は抱えているのではないでしょうか。
中小企業の中にいて、それを実感しているものの一人として、
「ICT を活用して何とかならないだろうか」
と言う期待は普段から持っています。
それを具体的に考えるためのヒントとしてこの本を買いました。
陶芸で使われる登り窯の焼成技術、
日本酒のもろみの品質管理、
シフト勤務の従業員への情報共有、
在宅診療における訪問看護師、ヘルパー、
ケアマネジャー、医師の間の情報連携の効率化
など、
すべて実際の課題を題材に、
ICTでどのように改善していったかが
当事者のインタビューも併せレポートされています。
さらに改善したことだけでなく、
新しく見えてきた課題も書かれています。
目次
第1章 登り窯の技術を伝える!
IoTで映像・データを蓄積し地域文化資源の保全に活用
山梨 増穂登り窯
第2章 「一杯で旨い酒」を造る!
杜氏が蔵を離れる時もIoTでもろみの品質を管理
宮城 寒梅酒造
第3章 在宅診療の時間を増やす!
音声テキスト化とRPAで医療事務文書作成を効率化
神奈川 渋谷在宅クリニック
第4章 お客さまを待たせない!
店舗や施設の空きがひとめで分かるIoTを導入
北海道 大丸札幌店
第5章 社内の情報連絡を密接に!
AIロボットが従業員と対話 工場見学の説明にも活用
長野 マルコメ株式会社
第6章 少人数でもおもてなしを実現!
IoTでフロント業務を効率化 街の観光案内にも利用
千葉 HOSTEL Co-EDO
第7章 入力業務の負担を軽減する!
FAXで届く400件の伝票をAI-OCRで読み取る
東京 東日本板橋花き
第8章 定型業務を効率化したい!
RPAで職員の働き方を改革 住民サービスに有効活用
福島 福島県会津美里町
第9章 ICTを活用して授業を変える!
生きた学力を伸ばすためタブレット/電子黒板を導入
東京 板橋区教育委員会
第10章 災害に備える街づくりを!
「り災証明書」の迅速な発行へ県内共通のシステムを導入
茨城 茨城県
最後の2章は専門家へのインタビューとなっています。
第11章 ICTとデータ活用が地方を変える
地域の活性化と雇用創出へ
野村総合研究所 梅屋真一郎 氏 インタビュー
第12章 デジタルで拓く地方創生
人手不足を契機に新たな戦略を策定しよう
早稲田大学教授 稲田修一 氏 インタビュー
監修がNTT東日本なので、いきおい解決のツールが
NTTあるいは提携企業のツールになる事は否めませんが、
それでもニュートラルな見方をすると、
陶芸から教育現場、地方自治体に至るまで、
様々な業種に適応した具体例が載っているので、
これらの中から、自社の課題に近いケース、
あるいは課題の解決に使える実現例を読み取って、
自社の生産性を伸ばすICTの利活用法を見出す。
そういう使い方がいいと思います。
コメント