著者 斉藤 徹氏
「売り上げ目標が必達なのに、肝心の社員・部下がやる気をなくしている」
「やる気のある組織を作りたいのに、頑張って指導するほどメンバーが受け身になっていく」
と悩むマネージャー、経営幹部、経営者の方に読んでいただきたい本がこの本です。
著者は起業家で、時価総額が100億円超の
テクノロジー・ベンチャー企業を育てた社長。
ただし、
「時に強引な営業を促し、取引先を困らせ、
社員を路頭に迷わせ、
挙句の果てに創業者追放の憂き目に」遭い、
その後、別の会社を立ち上げるも、
その直後にリーマンショックに見舞われ、
倒産の危機に見舞われた。
そのとき、考え方を大きく変え、
社会的な価値を創造するという
新たなビジョンを残った社員と目指し、
結果的に会社は奇跡の復活を果たした、
という波乱万丈の経歴の持ち主です。
この本はその後、
客員教授となった学習院大で立ち上げた
社会人向けのゼミでの知見をまとめたものだそうです。
本文は、著者が理想とする3つの組織モデル
「学習する組織」
「共感する組織」
「自走する組織」
を実現するために
・メンバやステークホルダとの関係性
・仕事の意味の共有
・貢献し、貢献される関係性
・自分で行動を選択する自律性
・最適な課題に挑戦・達成して味わう有能感
・変革への影響力
などについて、考え方、行動のとり方、
落とし穴とその回避方法、が書かれています。
これを読んだ感想は、
正直「これを実現するのは大変だ」
と、ちょっと弱気になってしまいました。
即効的な改善策はほとんどかかれておらず、
どれも従業員や管理職を問わず、
ひとりひとりが納得するまで
やり続けることが必要だからです。
ただ、この本の凄いところは、
「組織論」
「モチベーション理論」
「行動理論」
「変革アクションのとり方」
について、
過去の様々な文献やベストセラー本で紹介されていることが
ほとんどと言っていいほど、書かれていることです。
300ページの本に、よくここまで凝縮して書いたなと感心します。
今、人が長続きせず、辞めていく状況なのも事実です。
改善するために何か一つでも変えられることがないか、
という見方をするなら、この本はそういう手法の「大全」として
とっかかりになるのではないかと思います。
ちょっと弱気になった私が勇気づけられた言葉が
最後の章のこのタイトルでした。
「たったひとりから、影響の輪は広がる」
~だから僕たちは、組織を変えていける
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